愛知県内で唯一の試み。多くの命を救うために続ける努力
2012年に発足。会報の発行や毎月2回の譲渡会を行うなど精力的に活動されております。
2021年末には猫の譲渡数が1900頭を超えました。愛知県動物愛護センターの協力要請団体に登録され、センターからの受け入れも行っている「ねこネットあま」さんにお伺いしました。
活動を始められたきっかけを聞かせてください。
「2012年1月1日に発足しました。その前は個人や小さなグループで猫の保護活動をしていました。当時、あま市は『みんなでまちづくりパートナーシップ条例』を作り、市民活動団体や地域組織などと協働して色々な活動を行い、住みよいまちづくりを目指そうとしていました。つまり市と協働するボランティア団体を育て、行政では手の届かない問題を解決していこうと試みたわけです。あま市から助成金をいただけることもあり、有志が集まればもっと幅広い猫の保護活動ができるのではないかと考えた私たちは、『ねこネットあま』を始めることにしました。」
愛知県尾張地域の保護団体では唯一の活動を行っているそうですが。
「『ねこネットあま』をはじめて3年たち、活動がある程度軌道に乗ってきました。3年間の活動実績があれば、県の協力要請団体に登録できます。
県とともに協働すれば、まだ何かできるかもしれないと考え、愛知県動物愛護センターの協力要請団体として登録することにしました。
猫の保護や譲渡、TNRを主に活動してきましたが、2017年度から動物愛護センターからの呼びかけに応じ、預託(=よたく) を始めました。離乳前の子猫( 乳飲み子猫) を預かり育て、新しい家族を探す活動です。ミルボラ(=ミルクボランティア、乳飲み子猫にミルクを与えて育てるボランティア) さんの確保は大変で、常に募集を続けています。
ちなみに、預託の活動をしているのは、尾張広しといえども、私たち『ねこネットあま』だけなんですよ!」
預託の活動を行うには、様々な面において苦労があるかと思いますが、県など行政からの助成金などはあるのでしょうか。
「金銭的な支援は、今のところ全くありません。ミルクやペットシーツなど決められた量の現物支給はありますが、成長するにつれてのフード代や医療費などにかかる経費は、全て私たち『ねこネットあま』が負担しますね。
ミルクを飲んで成長する頃の子猫たちは、とても繊細です。すぐにお腹をこわしたり、体調をくずしたりするため、動物病院とは縁が切れません。」
現物での支給も必要かとは思いますが、医療費が自己負担だと相当な出費になるのではないでしょうか?
「そうですね。ミルボラさんには、私たち団体に属するミルボラさんと、動物愛護センターと直につながるミルボラさんとがいます。
私たちの団体では、ミルボラさんが必要とした医療費やフード代などの必要経費は団体が負担します。もちろん赤字になる場合もありますが、私たちがミルボラさんたちにお願いして子猫たちを育てていただいていますので、団体が経費負担するのは当然のことと思っています。赤字になる分は、ご支援くださる方々のカンパや新しい飼い主さんに譲渡する際にいただく協力金で賄っています。」
あま市の現在の動物保護に対しての要望などはありますか?
「市によっては、飼い主のいない猫の避妊・去勢手術代を負担すると聞いています。あま市の近辺では蟹江町・一宮市・稲沢市が補助金を出すようになりました。市と動物病院が提携して、医療費がかなり安くすむ地域もあるようです。
また、さくら耳の猫も増え、かなり地域猫について知られるようになったとは思います。が、さらに市民によく知ってもらえるように啓発してほしいですね。」
活動していて「良かった」と思う事と「苦労」している事について聞かせてください。
「育てた猫たちが新しい家族を持ち、幸せに過ごしている写真を送っていただいた時でしょうか。このご家族に譲渡して良かったと思えます。過剰繁殖をして道路で車にひかれる猫を見なくなったなど、地域の環境保全に役立っていると実感できるときも、この活動をしていて良かったと思いますね。
苦労と言えば、多頭飼いになってしまった猫たちの手術は大変ですね。飼い主の多くは高齢者で手術費がない、手術に連れて行きたくても車がない、など。話がまとまらずに手が出せない場合も多いです。
最近は、ワゴン車で一気に20 頭くらいの手術をしに来てくださる病院もでき、助かっています。」
これからペットを飼いたいと考えている人へ一言お願いします。
「ペットショップに行くより、私たちのような保護団体から家族として迎え入れていただきたいと思います。
必ず避妊・去勢手術をして完全室内で飼っていただきたいです。
最後に終生飼養、命尽きるまで家族の一員として大切にする覚悟をお願いしたいです。」