実家を保護猫カフェに。猫好きオーナーの転機

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今回は、東京都品川区にある保護猫カフェ「Meooow!」(ミャーオ!)さん。
とってもアットホームな作りで、物腰の柔らかいオーナー山本さんにお話を伺いました。

■保護猫カフェを始めたきっかけ

西小山にあった保護猫カフェ「cats安暖邸」というお店に足繁く通っていたという山本さん。譲渡してもらった「春馬」君という猫を可愛がっていたそうだ。ある時、お店が閉店するという話を聞き、自分としても何か出来ないだろうかと考えていたところ、父親が営んでいた実家の金属加工の工場を定年と共に閉める事が決まったそうだ。当時お店で働いていたスタッフの方からも「やるなら手伝うよ!」と声をかけてもらったこともあり、思い切って実家を改装し現在の保護猫カフェMeooow(ミャーオ)を開始した。
※現在、春馬君はMeooowの名誉会長に就任し、めったに会えない幻のキャラクターとして 親しまれている。

寝ている姿を見ているだけでも幸せな気分に。

現在は、約16頭を保護しており、開始から5年で170頭ほど譲渡しているとのこと。
山梨県にあるNPO法人リトルキャッツと提携し、現在預かっている猫はなんと、山梨県から長距離の旅をしてMeooow!で生活している。

■嬉しいことと悲しいことは表裏一体

保護猫カフェを経営していてとても良かったと感じることは、譲渡した猫や家族が幸せそうに暮らす姿を見られることという、「最近では、メールだけでなくSNSの発達で、定期的に連絡をもらわずもと、日々幸せに暮らしている姿を見られることがこの上なく嬉しい。」と笑顔を見せた。
今では、苦労することよりも楽しさが上回っているように見えたが、やはり創業当初は病気で亡くなっていく猫たちを見るのが耐えられなかったそうだ。「今では高額の薬を使用して治せる病気も増えたが、以前は延命程度しかケアが出来ず、弱っていく姿を見るのがとても辛かった。」と当時を思い返すような表情を見せた。
山本さんが、命を預かる立場として、これまでどれだけ懸命に戦ってきたかという事が伝わる一面であった。

■今は趣味に近い世界

行政関係からの助成金は品川区では制度として存在しておらず、資金的には常に苦しいという。「コロナ禍での助成金は対象となり受け取れましたが、都や区からの資金面的な助成は、開業当時からありません。運営資金は、通常営業の1時間1000円の料金と、皆様からいただける物品や金銭でのご寄付でなんとかやっている状況ですね。普段から給料が出るか出ないかぐらいでやってます!ほぼ趣味の世界に近いです。」と笑いながら話した。

先述の通り、こちらの施設は実家を改装して施設として運営しているので固定費などはあまりかからない状況ではあるものの、行政の制度として支援がなされていない現状に違和感を覚えた。

■みんなのきふ事業について

「とても助かる事業を始めてくれたと思います。みんなのきふは、母体がリサイクル事業を行っていることもあり、安心して任せられると考えています。通常の寄付では、物を持ち込まれる事は無いし、個人で不用品を売ってまで寄付するという考えが少ないので、収集から販売までを一貫してしていただけたるというのは、寄付する側にとってもハードルが下がるのではないかと思います。」と、ポジティブなご意見を頂戴することができた。

■保護には助成を、殺処分ゼロは人々の意識改革から。

現行の保護制度や殺処分について厳しい現状についても質問してみた。
「本来であれば、行政の施設において保護〜成育・譲渡とまで出来るのが理想だと思いますが、出来ないのであれば保護活動を行っている団体に対して助成金の制度を作って欲しいと考えています。事業的な助成が無理な場合は、せめて保護活動に携わっているボランティアの皆さんへの活動費を支給するなど、小さい額の助成からでも始めて欲しいです。」

「殺処分については、私達を含めもちろんゼロを目指しているが、少数行われている現実は、致し方ない部分もあると思います。資金・マンパワーが足りていないだけでなく、昨今テレビでもよく取り上げられるようになった、多頭飼育のスピードで増やされてしまうと、どれだけ施設や団体があっても足りません。このままでは、現状の変化はなくならないと感じています。罰則に関しても軽いので、しっかりとした法整備とともに飼育者の教育などが必要になってくるのではないでしょうか。」と慎重に言葉を選びながら考えを伝えてくれた。

■犬猫の飼育を考えている皆さんへ

これからペットを飼いたいと考えている皆さんに山本さんは言います。
「今、飼える環境にいらっしゃるから検討をされているのだと思いますが、コロナ禍だけではなく、ご自身の結婚や出産など、生活様式が変わるタイミングは必ずあります。また、猫と一緒にあなたも年を重ねていきます。ずっと健康なまま居るわけではない。現在の状況のみを考えるのではなく、3〜5年、もっと言えば10年先といったスパンで一緒に居るということと、命を育てる、預かるということは常に責任が伴うということも合わせて考えてほしいなと思います。」

また、筆者から付け加えて覚えていて欲しいことがあります。保護猫・犬に関わらず、譲渡金は発生します。今までの検査や必要な処置の費用の回収という側面だけではなく、まさしく”今、譲渡を待っている猫”たちの費用にもあてられます。今回取材したMeooow!のオーナー山本さんや全国で保護活動を行っている、施設・団体は毎日存続をかけて戦っておられます。ぜひ、保護された動物達の里親を選択肢に入れていただくと共に、譲渡には、必要最低限の費用がかかることを心に留めていただきたい。

おやつは争奪戦開始の合図。
↑おやつを出す前   ↗出した後(一番シャイな猫が一点を見つめている)

■店舗情報について

都営浅草線戸越駅、東急池上線戸越銀座駅から徒歩約10分とちょっと歩くが、ひっそりと佇む隠れ家的な猫カフェ。1時間1000円ワンドリンク付き、以降の延長は15分200円と都心のど真ん中にある保護猫カフェでは随一のコスパを誇るのではないだろうか。運が良ければおやつをあげる体験も出来るかも!11月以降は予約が不要になる見込み。
詳しくはHPを御覧ください!
https://meooow-cat.com/

ライター 山本 恭平